生活協同組合パルシステム埼玉
代表理事 理事長 西内良子

 パルシステム埼玉では、「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」を理念としています。その実現のために定めた2030年ビジョンのひとつ「平和」では、多様性を認め合い、争いや格差のない、命が大切にされる社会を広げることを目指しています。この目標に向けて、戦争や原爆の恐ろしさを学ぶ機会をつくり、平和の尊さを次世代へ伝承することに取り組んでいます。

 80年前、広島と長崎に投下された原子爆弾は、多くの市民の命と暮らしを一瞬にして奪いました。そして残された人々も大切な人を亡くした悲しみや、心身の苦しみと共に生きることを余儀なくされました。被爆者の方々は、苦しみと闘いながらも、再び被爆者を生み出さないために、被爆の実相を伝え、核兵器廃絶の必要性を世界へ訴えています。
長年、核兵器廃絶を訴える活動を続けてきた日本原水爆被害者団体協議会は、昨年ノーベル平和賞を受賞しました。

 日本は先の戦争の反省から、日本国憲法前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し」、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成する」ことを誓っています。日本では、多くの人々の努力によって、戦争のない平和な世の中が80年間守られてきました。
 
 現在世界では、自分だけの、自国だけの利益を追求し、互いの文化や価値観、立場の違いを認めない姿勢が対立や戦争を引き起こしています。その結果、多くの人々が、命や暮らし、大切な人を奪われ、恐怖と欠乏の中で生きることを強いられています。その最大の被害者は、罪のない子どもたちです。
 
 今なお戦争が続くこの世界で、平和を実現することは容易ではありません。しかし、パルシステムが大切にする食や農、環境も、平和でなくては成り立ちません。

あなたにとって「平和」とは何ですか?
私たちの暮らしにとって「平和」とは何でしょうか?

 過去から学び、現在を知り、誰かの犠牲の上に成り立つ平和で良いのかということも忘れてはならない視点です。多様性を尊重するためには対話も欠かせません。

 学び、問い続け、対話し、共に手を取り合い、核兵器のない平和な世界を未来の世代に手渡すために、今私たちにできることを一つひとつ実行していきましょう。

以上