老朽原発の60年を超える稼働に強く反対します 政府へパブコメ提出
原子力規制委員会
委員長 山中伸介殿
脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の
一部を改正する法律の一部の施行に伴う実用発電用原子炉の設置、運転等に関する
規則等の改正案等に対する意見
生活協同組合パルシステム埼玉
代表理事 理事長 樋口 民子
私たちパルシステム埼玉は「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」を基本理念として埼玉県で活動している生活協同組合です。東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、2012 年にパルシステムグループで「エネルギー政策」を制定し、事業活動や組合員家庭における省エネルギーの推進、脱原子力発電運動、地域と協同した再生可能エネルギー普及活動に取り組んでまいりました。また、2023年3月には「環境・エネルギー政策」を新たに策定し、脱炭素社会及び持続可能な社会の実現を目指して活動しています。
本改正案は、老朽原発の 60 年超運転を可能にする規制制度であるため、以下の視点から強く反対します。
1.丁寧な国民的論議もなく、科学的・技術的な担保がない安全規制は受け入れられません。
発電用原子炉は2012年、東電福島第一原発事故の教訓を踏まえて原子炉等規制法を改正し運転期間を 「原則40年、最長60年」とする上限が盛り込まれました。稼働後40年に満たない発電用原子炉でも、劣化によるトラブル、点検漏れによる事故が報告されています。稼働後40年を超えればさらに事業者の点検や老朽化評価には限界があり、原子力規制委員会の審査により科学的・技術的な安全性を担保できるのか懸念されます。また、原発活用を前提とした運転期間延長については、法改正スケジュールを優先し、原発の補修コスト、事故発生時の補償など経済性の議論の不足など丁寧な国民的論議が行われないなかで進められました。そのような安全規制は受け入れられるものではありません。
2.運転期間を原則40年とする現行規定を堅持すべきです。
これまでも、運転期間30年を超える原発に対しては高経年化対策制度として10年ごとの審査が行われており、今回の制度により安全規制を厳格化したわけではありません。老朽原発は原子炉の耐久性など未知な要素が多く、専門家からも多くの指摘を受けています。世界でも60年を超えた運転の例はなく、科学的知見が乏しいなかでは、運転期間を原則40年とする現行の規定は残すべきです。
以上