「無害化に10万年かかる原発のゴミはどこへ?」を開催

ピース・インターテーマグループ

 3月4日(月)、ぱる★てらすで、ドキュメンタリー映画「チャルカ ~未来を紡ぐ糸車~」上映会と島田監督のトーク会を開催しました。

 

私たちはどんな未来を紡いでいくのでしょう? 「チャルカ~未来を紡ぐ糸車~」は島田恵監督自身が、チェルノブイリ原発事故後核燃料貯蔵施設建設で激しい反対運動が繰り広げられた青森県六ケ所村に12年間住み、作成した記録映画です。今回の企画では、映画を上映したのち、監督ご自身のトーク、映画に名付けた「チャルカ」の題名の意味を含め、さまざまな事を生の声でお話しいただき、参加された方々は熱心に聞き入っていました。

人類が直面している核のゴミ処分問題
3・11フクシマの地震が起こるまで、原発によるエネルギーは安心で安価なものと思われてきました。原発被害国である日本。原発を使う事によりたくさんの危険な核のゴミ=放射線廃棄物が生み出され、それを安全に処理する当てもないままであるのに、それまで政府はそれを知らせようとはせず、原発は安心で安価であると国民に知らせてきました。そして、未だにこのゴミを生産することを止めようとはしていません。日本政府は核ゴミ処分は放置し再稼働を進め、原発はエネルギーの問題で核ゴミは別問題だといいます。

六ヶ所村には今、日本が既に出した高レベル放射線廃棄物貯蔵施設があり、期限が来て核ゴミが英、仏から返還されつつあります。反対が強かったにもかかわらず様々な動きがあり、賛成派知事が当選した事で反対運動は諦め感の中ですぼみ、無力感だけが残っています。
では、世界各国はどのようにしているのでしょうか。建設中の世界初の地下処分場、フィンランドにあるオンカロは、地盤が固く何万年もの間地盤が動いていないことを確認し、企業(日本で言えば電力会社)にその先の処分に到るまで責任を取らせる形で経営しているといいます。日本ではその責任は政府としていますが、実態は先のことは考えられておらず、出てしまった核ゴミはとりあえず原発敷地内に置かれ、引き取る市町村はないという状態です。また、日本での地層処分はフィンランドの固い地層とは違い不可能であることも地質学者が言及しています。

フランスと日本の原発立地場所には共通する点が多く、主たる産業はなく高齢化率、失業率が高い、いわゆる僻地で、多額の交付金が出て雇用が生み出されることで反対の声は潰されていきます。
北海道、幌延町の隣町に酪農を営む久世重嗣(しげつぐ)さんは、ここなら大丈夫だろうと、自然と共に暮らすためにわざわざ幌延町の隣町を一生の住処として選び移り住んでいましたが、ここでも原発の風が…交付金が下り反対派が少数になってしまったのです。

日本とフィンランドの行政は異なります。日本は情報を隠蔽し、反対者は意見を言いにくい雰囲気がありますが、フィンランドはオープンで、賛成、反対の意見を臆することなく言う事ができます。小泉元総理は、10万年後に今の言語で書いた「核処分場」の文字をその時代の人たちがわかるだろうか、何語で書くかも課題だ、と原発に対して反対を表明する講演をしました。核のゴミ。何も知らない未来の人たちが処分場のふたを開けてしまったらどうなってしまうのでしょう。
それぞれが各国での状況も踏まえ、その現状を伝え問いかけていく映画「チャルカ」を鑑賞し、日本の身近な人々および世界の実情、考え方、原発によるエネルギーの未来を改めて考えさせられた企画でした。


チャルカとはインドの手紡ぎ機「糸車」

3.11の教訓はどこに?
あの時、日本は事実を知り、変わると思いましたがまた元に戻ってしまいました。 経済優先で置き去りにしたものは?本当に大切なものは? 10万年後なんて知らないわ、とそっぽを向いていいのでしょうか?チャルカ、私たちは安全な未来を紡いでいけるのでしょうか…
トークの後の参加者からの質問に、「埼玉県の地盤は固くて良いので核燃料貯蔵施設としての候補に挙がっていると聞くが本当か知っていますか」というものもありました。本当にそうだったとしたらあなたは経済を優先し、受け入れるのでしょうか。
まずは自分で学び、考えて意見を持つことが大切なのではないでしょうか。

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