「がん罹患者の気持ちに寄り添う支援とは」を開催

 パルシステム埼玉は12月18日(金)、ぱる★てらすでオンライン企画「がん罹患者の気持ちに寄り添う支援とは」を開催しました。

 乳がん経験者であり、がんに罹患された両親を家族として支えてきた経験をお持ちの NPO法人 支えあう会「α」副理事長 野田真由美さんにご講演いただき、40人がオンラインで参加しました。

 

 

ご自身の体験を踏まえ、主に4つの内容についてお話しいただきました。

1.がんについて

 がんは「悪性腫瘍」のことです。治療には手術や放射線を照射する局所治療と薬物による全身治療があります。もともと自分のからだにある正常な細胞が何らかのきっかけでがん化し、その細胞がルールを破って増えたり周りに広がったり遠くに飛び広がって、進行すると命を脅かすことになる病気です。誰にでもかかりうる可能性があり、多くのがんの原因は解明されていません。

 知っておいてほしいことは、がんは人から人へと感染する病ではないこと、また「なりにくくする」ことはできても「ならないようにする」ことはできない病であるということです。

 

2.私のがん体験

***患者として***

 乳がん検診をきっかけに早期のがんが見つかった野田さんは、その頃子育て真最中だったので不安や心配事が尽きなかったと語ります。3人のお子さんを抱え、教育費がこれからかかるという時期でもあり、自分自身の医療保険は未加入なうえ、治療費の見当がつかなかったそうです。家族や周囲の人たちから掛かる言葉に孤独感や疎外感を感じ、治る保証のない中で治療を選択しなければならない難しさを痛感されました。

***家族として***

 野田さんの手術を終えた矢先に、お父様の膵がんが見つかりました。告知と治療方針に迷ったのですが、本人の人生観をあらかじめ聞いていたので告知はせず、強い治療をしなかったそうです。高齢者は「痛みは耐えるべき」との思い込みや医師への遠慮が、痛みのコントロールを難しくするそうでお父様もこれにあたり、苦しむ姿が辛かったと話されました。高齢者には遠慮しすぎず「痛いときは痛い」と話すよう伝えることが必要です。

 お父様の死から17年後、お母様の大腸がんが見つかります。当時は告知も一般的となっており、がんの告知を行いました。本人の「治療はしない、家に帰りたい」との希望で、自宅での療養に入りました。野田さんは〝介護力〟の必要性にふれ、「できる」と「する」では大違いと話されました。

 

3.がん医療の現状と患者の悩みと問題

 がんの疑いから確定診断まで思いのほか時間がかかります。治療も医師に任せていた時代から患者の自己選択・決定の時代へと移りました。

 就労世代の患者の仕事への不安や約70%の人が治療費の負担を感じています。患者や家族の抱える「思い」を医療者や周囲の人に知ってほしい、想像してみてほしいと野田さんは願っています。

 

4.周りの人へのお願い

 不用意な慰めは患者にとって何より辛いので、あれこれ言葉を尽くして励まそうとせず、そっとそばにいて話を聴いてください。肯定も否定もせずにいてほしいのです。

 使わない方が安全と思われる言葉は「検診」です。「検診してたの?」と言われ傷ついている患者は多くいらっしゃいます。

 

 

 新型コロナウイルス感染症拡大により、今年の講演会はオンラインを余儀なくされているという野田さん。パルシステム埼玉でもオンラインでの開催となりましたが、画面から伝わる参加者のみなさんの聞き入る姿がとても印象的でした。

 最後にチャットでの質疑応答が行われました。

 

 質疑応答内容の一部をご覧いただく場合はこちらをクリックしてください。

 がんについて正しい知識、確かな情報を得るには、国立がん研究センター「がん情報サービス」のホームページをご覧ください。

 

 ※この企画はパルシステム共済連たすけあい活動助成金を使用し開催されました。

 

 

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