DV被害「支援者養成基礎講座」【2日目】を開催

  

 昨今、虐待で幼い子どもが亡くなる痛ましいニュースが増えているように感じます。DV被害にあっている女性が3人に1人という現状の中、支援がなかなか届かないのは、日本の制度上の問題が考えられます。
 「そんな人と結婚したあなたが悪い」ではなく、世間がDVを許さない!という風潮が広がるように、DVを「個人の問題」ではなく「地域の問題」として捉えることが大切です。

 8月14日(水)ぱる★てらすで、特定非営利活動法人パープルネットさいたま(※1)主催の「支援者養成基礎講座~DV被害をうけた女性と子どもに寄り添う~」の第2回目を開催し、15名が参加されました。
 2日目は、「トラウマ」、「法律関係」、「アドボカシー・クライシス」について学びました。

 講義の中で、NPO法人女性ネットSaya-Saya(※2)代表の松本様から、海外と日本のDV防止法関連やシェルターの違いなどについて、実際に視察に行かれた際に感じたことなどを教えていただきました。日本には「DV罪」はありません。最近の虐待のニュースなどを見ればわかるよう、加害者は「傷害罪」として扱われます。
 対してアメリカなどではオレゴン州で、身体的な暴力や暴行に加え、罵倒、威圧、モラハラなどの口頭による暴力が通報された場合、警察官は加害者を逮捕することが義務つけられています。夫婦間の「ケンカ」のレベルであっても、通報があれば逮捕することができるという点で、日本と大きく異なります。さらに、17歳以下の子どもに対する虐待や、子どもの目の前で虐待が行われた場合は「重罪」に値するそうです。
 また医者が診察時にDVの痕跡をみつけた場合も、通報が義務付けれられているとのこと。
 日本では「親の権利」やDVではないと裁判で逆に訴えられた場合などを恐れている風潮もあります。「安全な法律ができないと思うような支援ができなくなってしまう」と危機感をつのらせます。

 また保護につながった後の話でも、海外との違いは多々あります。日本の被害者のためのシェルターは禁止事項が多く、まるで刑務所のように感じる一方で、イスラエルでは、逆に加害者が収容され施設から会社などに通ったり、中では更生プログラムを受けます。被害者はもともと住んでいた町で安心して暮らせるのです。
 様々な手続きにおいても日本では管轄ごとに申請が必要なため、被害者側がいつ加害者にみつからないかと苦労して行うのに比べ、海外では裁判所の中にNPOなどの支援団体が入っているため様々な手続きがワンストップでが行われます。日本で1か月くらいかかる保護命令が、代表が視察に行ったアメリカオレゴン州の裁判所では朝申請を出して午後には保護命令がくだるとのこと。被害者の安心・安全を第一に考えているのです。

 パープルネットさいたま主催で「支援者カフェ」を毎月第3水曜にぱる★てらすで開催しています。お茶を飲みながら、気軽にDVについて考える場としています。子育てサロンや、認知症カフェ、介護者サロンなど開催している方、「もしかしたら?」と思ったことや、相談を受けたけれどどうしたらよいかわからないなど、悩んだ経験はありませんか。
 様々な支援をしている方どなたでも参加できます。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
「支援者カフェ」のご案内はこちらから

支援者養成基礎講座と支援者カフェは、COOP共済「地域ささえあい助成」の協賛を受け、パルシステム埼玉と協同で実施しています。 

(※1)パープルネットさいたまは、埼玉県が養成したびーらぶインストラクター(DV被害を受けた女性と子どもが同時並行で学べる心理教育プログラム)の団体で、暴力に悩む女性と子どもをサポートする活動を行なっています。 
    詳しくはこちらをご覧ください。
(※2)NPO法人女性ネットSaya-Sayaについてはこちらをご覧ください。

     今後の「支援者養成基礎講座」の詳細はこちらから

TOP