テーマ活動

平和・国際委員会だより

2018年2月23日 放射線による健康被害のおはなし・3.11を忘れない を開催
2月13日(火)ぱる★てらすで、講師に埼玉協同病院(医療生協さいたま理事長)雪田慎二先生をお招きし「放射線による健康被害のおはなし・3.11を忘れない」を開催しました。講演会には31人の方が参加しました。

東日本大震災から早くも7年が経とうとしています。
そんな中、福島第一原発事故の放射線による健康被害、甲状腺検診についてなど雪田先生の見解を交えながらお話いただきました。

『心の感度を落とさない』
雪田先生ご自身で震災後に撮影した福島の写真を投影しながら、現地の様子を語っていただきました。
初めに南相馬市を訪れ、絶対にいないであろうと信じていた、妊婦や子どもが体育館に留まっていたことに大変ショックを受けたそうです。
同じ日に市内の産婦人科医に話を聞いたところ、“妊婦が残っている”から“医師が残る”という現状を目の当たりにされました。必要な医療支援をたずねると「こたつとみかん」があればいいと、それだけで人が集まり、家族、近所で話ができると。必要なのは医療支援だけでない、現場にいないと出てこない発想だったと当時を振り返ります。

福島第一原発事故を風化させないために大事なのは「心の感度」を落とさないことと雪田先生。どんなに関心のある人でも時間の経過とともに薄れてしまうので、意識的に現地を訪れ、話を聞くことが大切と話されました。

『放射線について』
放射線の健康影響を考える上で、広島・長崎のデータは重要とされています。
1950年に国勢調査が始まり、その後の健康状態など万単位のデータがあるのは世界的に類をみません。積み重ねたデータから、近年の研究で「線量」に応じた健康被害のリスクがあるとわかりました。原発事故から7年経ち、多くのことがわかると思いがちですが、10年、20年、30年と調査を続けてみないと判明しないことがあります。また、広島と長崎では外部被爆の被爆者が多いのに対し、福島の場合は内部被ばくのケースもあり、単純な比較はできないとのことでした。

『チェルノブイリからどんなことを学ぶのか』
2012年にチェルノブイリを訪問した際の様子について、写真を交えながらお話いただきました。廃村となった村の状況や現地のドクターとのお話、ウクライナ政府の子どもたちの健康被害の評価報告など説明されました。

話を福島に戻し、ここで甲状腺被害の現状についてお話です。
2011年に始まった福島県民健康調査(甲状腺エコー調査)で、データ集約において信頼性が揺らぐことが近年判明。放射線被爆と甲状腺癌の関係性については、多くの医師たちの間でも見解が分かれ、議論が起きているとのこと。

検査による甲状腺がんの「過剰診断」「過剰治療」といわれる意見もありますが、この議論については慎重に扱う必要があると雪田先生。現状は「データを積み重ねていかないとわからない」とのこと。
また、「検診を受けやすくすること」「データを公開すること」は、検診率を増やし、データを積み重ねることに繋がります、と話されました。

『これからやるべきこと』
雪田先生は次のようにお話しました。
「まずは脱原発、再稼動をやめさせること。そして新たな被爆者を増やさないこと。原発事故被害者、広島・長崎の被爆者の方はもちろん、原発労働者などすべての被ばく者、被害者が救済されることが大事です」また、「食全体に気を配り、放射線のことだけに気を配られるのではなく、全体の中に位置づけして総合的な見方をすることが必要です」とし、子どもたちの将来、貧困問題、原発事故など、自分たちの生活や世の中のあり方と合わせて考えることの重要性を説きました。

質疑応答も活発に行われ、参加者からたくさんの感想が寄せられました。
~参加者感想から抜粋~
・甲状がんについては実際に公表されている数値をもとに、問題や現在までの傾向をわかりやすく教えていただき、大変勉強になりました。
・医療者間でも意見が分かれるとのことがよくわかりました。
・「こころの感度」落とさないようにしたいです。
・脱原発。再稼働をやめて、これ以上被害者を出さないようにしなくてはいけないと思いました。


ピースインターテーマグループメンバーより
 チェルノブイリと福島の原発事故。この二つがもたらした放射線による健康影響について、様々なデータを用いながら、とてもわかりやすく説明していただきました。
 原発問題やエネルギー政策、また放射線被害を受けた方々をどのように救済していくべきかなど、日本は多くの課題を抱えていることが、改めてよくわかりました。非常に難しい問題ですが、日本の未来、子ども達のためにも、私達ひとりひとりが真剣に考えなければいけないと思います。
 雪田先生、ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。