「三橋先生の東アジア近現代史講座~韓国の土となった日本人・浅川巧~」を開催

ピース・インターテーマグループ

 9月17日(水)、三橋広夫先生を講師に恒例の「東アジア近現代史講座」を開講しました。

 今回は1910年代植林技師として朝鮮に渡った浅川巧の生涯を軸に講座は進みました。
 「皆さんの気になる歴史上の人物は?」という先生の問いかけから始まりました。続いての「皆さんも歴史上の人物の一人です」というこの言葉に驚いた参加者は多かったと思います。
気になる歴史上の人物については日本、韓国から名前が挙がりました。  
 浅川巧が赴任した当時の朝鮮は日本の統治下でした。政府からのさまざまな制限がある中、彼は積極的に朝鮮の人々と関わりました。その生き方が朝鮮の民衆に受け入れられたことは彼が亡くなった時の朝鮮の人々の対応によく表れていると思います。それでも韓国の近現代史の教科書では書いているのは一冊のみでそれも今年は記述が無くなったそうです。
 
 それほど知られていない浅川巧ですが、日本では彼の「民衆の器」への関心が柳宋悦(そうえつ)、兄浅川伯教(のりたか)に影響を及ぼし、現地の人がふだん使っている器の価値を見直すということにつながりました。
 
 このような資料をもとに「植民地支配の中での浅川巧の生き方」について、九一(クィル)高校の学生、高麗(コリョ)大学生の考えを聞いたものを資料としていただきました。さまざまな意見が載っていて興味深く読みました。  

 三橋先生は歴史学習、教育は事実を知ったうえで自分なりの考えを持てばよい、これはいい、あれはだめだと教師から言うのは良くないとおっしゃいます。植民地支配ということも現在生きている私たちが過去に対してどう考えるかが一番大事。自分の考えの中に植民地主義から脱していない部分があるのではないか、韓国の人の中にも植民地主義という考えがあることをいろいろ学習して気づいて欲しいとも。

 この姿勢は教育現場だけでなく私たちのふだんの生活でも同じことが言えるのではないでしょうか。お隣とだけではなく、あちこちでぎくしゃくしている今こそお互いが歴史に学び、悲惨な時代に戻らないような努力をしなければならないと思います。
 次代を担う子供たちに何を残せるか。歴史の事実は事実として伝え、“自分の考え、意見を言える”環境作りが必要と改めて痛感しました。

 

    

三橋広夫先生プロフィール
早稲田大学、神田外語大大学院卒業。元日本福祉大学教授。現早稲田大学、淑徳大学などの非常勤講師。歴史教育に長年携わり、リベラルな語り口との定評あり。東アジア史関係の書籍出版物多数。

 次回開催予定:10月2日(火)ぱる★てらす  タイトル:見えない水のおはなし

                                          

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