【オンライン企画】「女性の視点を持って減災・防災について考える」を開催

 33日(水)、オンラインセミナー「女性の視点を持って減災・防災について考える」を開催しました。特定非営利活動法人男女共同参画おおた 理事長 坂田静香さんより、性別・立場別に異なる災害時の困難を理解した地域の防災力の重要性について、女性視点からお話しいただきました。

 

 

 防災力の向上に「自助」「公助」「共助」があります。特に災害直後は、近隣住民や地域の人たちが互いに協力し助け合う「共助」が必要となります。阪神淡路大震災が起きた際には約3割の方が近隣住民同士で助け合ったといいます。地域には、子どもから高齢者、障がいのある方や外国人などたくさんの方がいらっしゃるので、避難行動・必要な支援が各々異なることをお知りおきください。

 

 東日本大震災における被災の実態にふれ、内閣府の統計によると女性の死者数が男性より約1,000人おおく、高齢になるほど男女の差が大きくなっています。このような結果は平日の昼間、家族と共に過ごす女性の割合が高く、家族と一緒に逃げようとした方が多かったため犠牲となったのだと考えられます。このことから地域に住む女性の力が必要不可欠と見て取れ、「日頃から防災訓練の企画や運営の中枢に女性が入るべき」と坂田さんは語ります。

 

 東日本大震災後の避難生活の中で、避難所などにおける生活の肉体的・精神的疲労を受けた方が多かったことをあげ、劣悪な条件の避難所環境や在宅避難生活で亡くなる関連死を防ぐためにも、今後災害が起きた場合の必要な支援についてご教示くださいました。

 

 

 熊本地震発災後、坂田さんは熊本県を訪れました。過去の被災経験者からの〝気づき〟が避難所で生かされ、女性被災者への配慮が見受けられたそうです。例えば女性専用の更衣室や授乳室などを設けた所がありました。しかし、すべての避難所で設けられたわけではありません。女性の視点から、今後も性別や立場による被災の違いがあること、被災者側はなかなか声をあげることができないという実情を多くの人に理解してもらいたいと考えています。

 

 講演の途中、「食物の配分」「仮設トイレ」についてのグループトークを行いました。坂田さんは、避難所生活や運営に起こりうる問題の対応に完璧な正解といったものはほぼないと話します。互いにアイディアや意見を出し合い、性別で役割分担することなく、各々の得意とした分野を活かしながら困難を切り抜けることが重要と訴えました。

 

 被災した時、一人ひとり直面する問題は異なります。同じ支援でみんなが平等にという考えでは被害が拡大するかもしれません。地域に暮らす多様な人々の違いに配慮した支援が必要です。女性も男性とともに、地域の役員や組織の責任者により多く就き、障がいのある方や地元に住む外国人にも参加を促し、多様な視点で取り組むことが不可欠でしょう。

 

 ※この企画はパルシステム共済連たすけあい活動助成金を使用し開催されました。

 

【参加者のご感想(一部抜粋)】

・避難所運営のヒントがたくさんあり、参考になりました。

・画一的に「公平」ではなく、配慮が必要な人のニーズを考える、人権・多様性を認めるという視点で考えると減災につながると分かりました。

・昨今女性参画が大きく取り上げられていますが、なぜそれが重要なのか男性はわからないのだと思います。坂田理事長のお話をもっと多くの男性に聞いてもらい女性の意見に耳を傾けてもらえるような世の中になって欲しいです。今回も企画の参加者は女性がほとんどでしたので今後は男性に聞いてもらえるような場所で講演をして欲しいです。

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